2011年3月5日土曜日

R・シュタイナーの宇宙観 

 バイオダイナミック農事暦は、実際に農事の営まれる農場という限定された空間、世界を律するのみではなく、同時に神話的な宇宙全体の記憶の中に位置づけられ、その始源の存在論を受け継ぐものである。その独自の宇宙創造神話は「アーカシャ年代記」*4と呼ばれるものであるが、その中でR・シュタイナーは現在の「地球」をさらに広大な宇宙進化の歴史的神話の中に位置づけている。

 現在の地球及び人間は、R・シュタイナーの宇宙進化説においては第四番目の「進化段階」である「地球」状態のものである。現在の人間はそれ以前に「土星」、「太陽」、「月」状態を経て形成され、今後さらに「木星」、「金星」、「ウェルカヌス星」状態へと進化するとされている。R・シュタイナーの宇宙進化説によればその宇宙全体が「受肉」と「霊化」を繰り返し、その「受肉」の過程で「個体化」されるのがそれぞれの「惑星状態」である。さらにその全ての記憶は「アーカシャ年代記」という独自の「記憶実体」として保存されているという。「受肉」と「霊化」とは宇宙生成のリズムであるが、それは漸次的に行われるものではないという。それは「宇宙の眠り」と呼ばれる連続の断絶によって、惑星状態つまり個々の世界が崩壊し、種子のように混沌と化した後に霊的に再生、進化するのである。R・シュタイナーの世界観は先行し、また後続する「惑星状態」によって層をなす世界観の全体である。
 現在の宇宙・人つまり「地球」は先行する「土星」、「太陽」、「月」状態の「宇宙の記憶」を保持している。R・シュタイナーによれば現在の人間は「物質体」、「エーテル体」、「アストラル体」、「自我」によって構成されおり「物質体」、「エーテル体」、「アストラル体」はそれぞれ「土星」、「太陽」、「月」状態の「人間の本性の記憶」と呼べるものであり、「自我」は「地球」状態の人間の本性であるという。先に見たように、「自我」とは「宇宙劇の演じられる舞台」であり、現在の人間はその宇宙の営みの中心軸に繋がれているのである。
 さらに「物質体」、「エーテル体」、「アストラル体」は「地球」状態において「鉱物界」、「植物界」、「動物界」に対応しているという。

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