デメターとはバイオダイナミック農法によって育てられた農産物の商標である。
デメターによるバイオダイナミック農法による農産物とは?
デメターの基準(英語) PDFファイル
2011年3月7日月曜日
2011年3月5日土曜日
四季の移り変わりとR・シュタイナーの宇宙観
秋、生からその形態を死へと変態させる植物は、他のあらゆる有機的形態と同様に『農業講座』における二つの根源的力である「地球的諸力」と「宇宙的諸力」を内在している。そして生から死への変態は、その混交する力であり同時に質的に異なる二つの存在次元である、「宇宙的・地球的」存在様態を移行することになる。
「四季の宇宙的イマジネーション」のなかで秋は、大天使ミカエルと龍の闘いとして描かれる。ミカエルは大天使であり、キリスト教、イスラム教を始め、多くにその姿を現し、通常、剣を持ち、その剣で巨大な蛇、龍を押さえつけた姿で描かれる。それはサタンに最初に勝利したものであるという。
夏に、地上の有機的個体は、その形態を自らが追い越すかのように、成長する。それは「地球的諸力」と『農業講座』で呼ばれる形態の形成力の最も高まる時点であり、「生命が芽生え、成長し、四体元素が諸惑星の運行に従って飛び交う」のである。それは宇宙の生成の原理である二つの力のうち「地球的諸力」が「拡散」し外へ、外へと拡がりゆく過程である。R・シュタイナーが、ゲーテから学んだ形態学、さらにそれを踏まえ、生まれた宇宙観においてはあらゆる形態は常に「拡散」と「収縮」を繰り返し、成長する。
秋には地球全体が「拡散」から「収縮」へと移行するのであり、その移行は単に自然の推移としてではなく、ミカエルと龍の闘いに象徴されるように、二つの存在次元の連続の断絶を含んだ移行なのである。何故なら形態の「拡散」と「収縮」は、宇宙的原理においては「受肉」と「霊化」に対応し、「受肉」とは宇宙の始源の普遍的全体性がそれぞれの有機的形態に分有される神秘であり、そのような創造はひとたび根源的な全体性(カオス)のなかにそのみを委ねることで可能になるのであり、つまりあらゆる形態は一度、死ななければならないのである。それは『農業講座』において「種子の混沌」として表現される原初の状態への根源的な「収縮」の過程であり、それを経て、再び「霊化」され、新しい命、始源のリアリティーを得ることができるからである。
秋は自然の表象においては、衰退の過程として把えることが出来るだろう。しかしそれはその反面、地球全体が原初的全体性へと移行する創造の過程として理解されるのである。
冬は、マリアに抱かれたキリストの姿を通して描かれる。それは有機的形態、地球全体の生命の誕生、始源のリアリティーの創造のモデルである。
地球は「クリスマスを頂点に、次第に固まっていき、真冬には一個の宇宙体となる」という。それは形態の「収縮」の頂点であると同時に、宇宙の「霊化」の始まりである。地球は大地へと蒔かれた種子と同様に、宇宙における一個体、原初的状態へと回帰する。
地球は真冬に、宇宙に対して一個の閉じられた存在になることを把握しておく必要があります。冬の間の地球が、地球そのものなのです。地球の本質が集中するのです。真夏の間、地球は宇宙にみずからを委ね、宇宙の生命を生きます。春と秋には、この両極の間に均衡があります。これらすべては地球の生命全体にとって、考えうるかぎりもっとも深い意味を有しています。(『四季の宇宙的イマジネーション』、p51)
冬に閉じられた状態になるという地球は、それが地上の最も古く、最も完成された存在である鉱物の結晶化と比較される。それはその固体性のために生命を失うのであるが、それは結晶化を通じて表現される宇宙との合一である。農場空間においてはそれは、大地のふところ、マリアに抱かれたキリスト─種子─地球の姿である。農場において大地への回帰は、「アーカシャ年代記」にいう「土星=鉱物」という神話的始源への回帰なのである。
春は、復活祭のイメージで語られる。宇宙の原初的な力であり有機体の形態を律する「宇宙的諸力」・「地球的諸力」は「ルシファー的存在」・「アーリマン的存在」に重ねられる。ここでルシファーとは唯霊化の根源的作用であり、アーリマンは唯物化の根源的作用である。春に地球の生命はその「二つの極」を受け入れる。アーリマンの影響下に地球上のあらゆる有機的形態は「活動的」で、「多感な」地球存在として一体化しようとする。一方ルシファー的存在は地球の「炭酸蒸気を上昇」させ、有機的生命体を天上へと昇華させようとする。ルシファー的存在も、アーリマン的存在も「人類」を地上から「消滅させよう」とするという。何故なら地上におけるすべての有機的形態は、二つの力「宇宙的・地球的諸力」の混交、「収縮」と「拡散」、「上昇」と「下降」、さらに「受肉」と「霊化」の絶えざる生成のリズムにおいてその存在を顕にするからである。
キリストの復活はR・シュタイナーの宇宙において再び、その宗教的世界を結ぶ中心に据えられた。「ゴルゴダの秘蹟」は「地球の歴史のなかでは一度限りの事件である」としても、さらにそれは「人間のために毎年更新される」のである。農場においては、人間の「自我」という内的宇宙が「ゴルゴダの秘蹟」によって宇宙の全体に結びつけられているのと同様に、種子の芽生え、回春を通じて、宇宙に、そして人間に繋がれているのである。
「四季の宇宙的イマジネーション」のなかで秋は、大天使ミカエルと龍の闘いとして描かれる。ミカエルは大天使であり、キリスト教、イスラム教を始め、多くにその姿を現し、通常、剣を持ち、その剣で巨大な蛇、龍を押さえつけた姿で描かれる。それはサタンに最初に勝利したものであるという。
夏に、地上の有機的個体は、その形態を自らが追い越すかのように、成長する。それは「地球的諸力」と『農業講座』で呼ばれる形態の形成力の最も高まる時点であり、「生命が芽生え、成長し、四体元素が諸惑星の運行に従って飛び交う」のである。それは宇宙の生成の原理である二つの力のうち「地球的諸力」が「拡散」し外へ、外へと拡がりゆく過程である。R・シュタイナーが、ゲーテから学んだ形態学、さらにそれを踏まえ、生まれた宇宙観においてはあらゆる形態は常に「拡散」と「収縮」を繰り返し、成長する。
秋には地球全体が「拡散」から「収縮」へと移行するのであり、その移行は単に自然の推移としてではなく、ミカエルと龍の闘いに象徴されるように、二つの存在次元の連続の断絶を含んだ移行なのである。何故なら形態の「拡散」と「収縮」は、宇宙的原理においては「受肉」と「霊化」に対応し、「受肉」とは宇宙の始源の普遍的全体性がそれぞれの有機的形態に分有される神秘であり、そのような創造はひとたび根源的な全体性(カオス)のなかにそのみを委ねることで可能になるのであり、つまりあらゆる形態は一度、死ななければならないのである。それは『農業講座』において「種子の混沌」として表現される原初の状態への根源的な「収縮」の過程であり、それを経て、再び「霊化」され、新しい命、始源のリアリティーを得ることができるからである。
秋は自然の表象においては、衰退の過程として把えることが出来るだろう。しかしそれはその反面、地球全体が原初的全体性へと移行する創造の過程として理解されるのである。
冬は、マリアに抱かれたキリストの姿を通して描かれる。それは有機的形態、地球全体の生命の誕生、始源のリアリティーの創造のモデルである。
地球は「クリスマスを頂点に、次第に固まっていき、真冬には一個の宇宙体となる」という。それは形態の「収縮」の頂点であると同時に、宇宙の「霊化」の始まりである。地球は大地へと蒔かれた種子と同様に、宇宙における一個体、原初的状態へと回帰する。
地球は真冬に、宇宙に対して一個の閉じられた存在になることを把握しておく必要があります。冬の間の地球が、地球そのものなのです。地球の本質が集中するのです。真夏の間、地球は宇宙にみずからを委ね、宇宙の生命を生きます。春と秋には、この両極の間に均衡があります。これらすべては地球の生命全体にとって、考えうるかぎりもっとも深い意味を有しています。(『四季の宇宙的イマジネーション』、p51)
冬に閉じられた状態になるという地球は、それが地上の最も古く、最も完成された存在である鉱物の結晶化と比較される。それはその固体性のために生命を失うのであるが、それは結晶化を通じて表現される宇宙との合一である。農場空間においてはそれは、大地のふところ、マリアに抱かれたキリスト─種子─地球の姿である。農場において大地への回帰は、「アーカシャ年代記」にいう「土星=鉱物」という神話的始源への回帰なのである。
春は、復活祭のイメージで語られる。宇宙の原初的な力であり有機体の形態を律する「宇宙的諸力」・「地球的諸力」は「ルシファー的存在」・「アーリマン的存在」に重ねられる。ここでルシファーとは唯霊化の根源的作用であり、アーリマンは唯物化の根源的作用である。春に地球の生命はその「二つの極」を受け入れる。アーリマンの影響下に地球上のあらゆる有機的形態は「活動的」で、「多感な」地球存在として一体化しようとする。一方ルシファー的存在は地球の「炭酸蒸気を上昇」させ、有機的生命体を天上へと昇華させようとする。ルシファー的存在も、アーリマン的存在も「人類」を地上から「消滅させよう」とするという。何故なら地上におけるすべての有機的形態は、二つの力「宇宙的・地球的諸力」の混交、「収縮」と「拡散」、「上昇」と「下降」、さらに「受肉」と「霊化」の絶えざる生成のリズムにおいてその存在を顕にするからである。
キリストの復活はR・シュタイナーの宇宙において再び、その宗教的世界を結ぶ中心に据えられた。「ゴルゴダの秘蹟」は「地球の歴史のなかでは一度限りの事件である」としても、さらにそれは「人間のために毎年更新される」のである。農場においては、人間の「自我」という内的宇宙が「ゴルゴダの秘蹟」によって宇宙の全体に結びつけられているのと同様に、種子の芽生え、回春を通じて、宇宙に、そして人間に繋がれているのである。
ラベル:
R・シュタイナーの宇宙観,
農事暦
R・シュタイナーの宇宙観
人間の構成要素である「肉体」、「エーテル体」、「アストラル体」は、先行する三つの惑星段階においてその「人間的(中心的)存在」であったものであり、それら「過去の人間存在の記憶」は現在の人間世界において「鉱物的」、「植物的」、「動物的」存在として世界を構成しているのである。また地球までの四段階は「熱」、「空気」、「水」、「土」をそれぞれ実質としており、それは現在の地上の「四大元素」とつながる。天象の示すリズムとそれに比定される植物のリズムを中心にした農事暦に従うことは事実、宇宙の歴史の再現なのである。
そして農事暦はR・シュタイナーの表現した「新しい人間・世界」においては「自我」という内的宇宙において、その神話的構造に結ばれているのである。「自我」とはそこにおいて「宇宙劇が再演される」ところの世界の中心である。
そして農事暦はR・シュタイナーの表現した「新しい人間・世界」においては「自我」という内的宇宙において、その神話的構造に結ばれているのである。「自我」とはそこにおいて「宇宙劇が再演される」ところの世界の中心である。
ラベル:
R・シュタイナーの宇宙観,
自我,
農事暦
R・シュタイナーの宇宙観
バイオダイナミック農事暦は、実際に農事の営まれる農場という限定された空間、世界を律するのみではなく、同時に神話的な宇宙全体の記憶の中に位置づけられ、その始源の存在論を受け継ぐものである。その独自の宇宙創造神話は「アーカシャ年代記」*4と呼ばれるものであるが、その中でR・シュタイナーは現在の「地球」をさらに広大な宇宙進化の歴史的神話の中に位置づけている。
現在の地球及び人間は、R・シュタイナーの宇宙進化説においては第四番目の「進化段階」である「地球」状態のものである。現在の人間はそれ以前に「土星」、「太陽」、「月」状態を経て形成され、今後さらに「木星」、「金星」、「ウェルカヌス星」状態へと進化するとされている。R・シュタイナーの宇宙進化説によればその宇宙全体が「受肉」と「霊化」を繰り返し、その「受肉」の過程で「個体化」されるのがそれぞれの「惑星状態」である。さらにその全ての記憶は「アーカシャ年代記」という独自の「記憶実体」として保存されているという。「受肉」と「霊化」とは宇宙生成のリズムであるが、それは漸次的に行われるものではないという。それは「宇宙の眠り」と呼ばれる連続の断絶によって、惑星状態つまり個々の世界が崩壊し、種子のように混沌と化した後に霊的に再生、進化するのである。R・シュタイナーの世界観は先行し、また後続する「惑星状態」によって層をなす世界観の全体である。
現在の宇宙・人つまり「地球」は先行する「土星」、「太陽」、「月」状態の「宇宙の記憶」を保持している。R・シュタイナーによれば現在の人間は「物質体」、「エーテル体」、「アストラル体」、「自我」によって構成されおり「物質体」、「エーテル体」、「アストラル体」はそれぞれ「土星」、「太陽」、「月」状態の「人間の本性の記憶」と呼べるものであり、「自我」は「地球」状態の人間の本性であるという。先に見たように、「自我」とは「宇宙劇の演じられる舞台」であり、現在の人間はその宇宙の営みの中心軸に繋がれているのである。
さらに「物質体」、「エーテル体」、「アストラル体」は「地球」状態において「鉱物界」、「植物界」、「動物界」に対応しているという。
現在の地球及び人間は、R・シュタイナーの宇宙進化説においては第四番目の「進化段階」である「地球」状態のものである。現在の人間はそれ以前に「土星」、「太陽」、「月」状態を経て形成され、今後さらに「木星」、「金星」、「ウェルカヌス星」状態へと進化するとされている。R・シュタイナーの宇宙進化説によればその宇宙全体が「受肉」と「霊化」を繰り返し、その「受肉」の過程で「個体化」されるのがそれぞれの「惑星状態」である。さらにその全ての記憶は「アーカシャ年代記」という独自の「記憶実体」として保存されているという。「受肉」と「霊化」とは宇宙生成のリズムであるが、それは漸次的に行われるものではないという。それは「宇宙の眠り」と呼ばれる連続の断絶によって、惑星状態つまり個々の世界が崩壊し、種子のように混沌と化した後に霊的に再生、進化するのである。R・シュタイナーの世界観は先行し、また後続する「惑星状態」によって層をなす世界観の全体である。
現在の宇宙・人つまり「地球」は先行する「土星」、「太陽」、「月」状態の「宇宙の記憶」を保持している。R・シュタイナーによれば現在の人間は「物質体」、「エーテル体」、「アストラル体」、「自我」によって構成されおり「物質体」、「エーテル体」、「アストラル体」はそれぞれ「土星」、「太陽」、「月」状態の「人間の本性の記憶」と呼べるものであり、「自我」は「地球」状態の人間の本性であるという。先に見たように、「自我」とは「宇宙劇の演じられる舞台」であり、現在の人間はその宇宙の営みの中心軸に繋がれているのである。
さらに「物質体」、「エーテル体」、「アストラル体」は「地球」状態において「鉱物界」、「植物界」、「動物界」に対応しているという。
ラベル:
R・シュタイナーの宇宙観
宇宙の似姿としての種子
「宇宙の似姿としての種子」
R・シュタイナーは種子は宇宙の似姿であるという。
種として形成されたものが、親植物ないし親植物からその子供である植物ないしは動物の中に単に受け継がれていくという形では、生体は決して「種から生じてくる」のではありません。そういう考え方は全く誤っているのです。むしろこのような複雑な構造が極端にまで押しすすめられますと、それは崩壊するというのが正しいのです。そして地上の領域で最高の複雑さにまでもたらされたものの中には、結局のところ小規模な混沌世界ができます。このように最高の複雑さに到達したものは崩壊して、言うなれば宇宙の塵となるのです。そして、このように種が最高の複雑さに達し宇宙の塵となって崩壊し、そこに小規模な混沌世界が生じた時、周囲を取りまいている宇宙の総体がこの種に向かって働きかけ始め、その種の中に自分の似姿を刻印し、あらゆる方向から宇宙の作用がやってきてこの種子の中に形成されるものを、この小さな混沌世界から作り出すのです。このようにして、種子の中に我々が持っているのは、宇宙の似姿なのです。(『農業講座』、p62)
種子は宇宙の似姿であるという。種子の崩壊と混沌、その再生という表現は宇宙の縮図であり、人間存在の生と死の姿を現すものである。それは種子が植物の単なる生長の経験的周期性を現すためではなく、そこに宇宙の生成の原理が現れるためである。
「宇宙的諸力」と「地球的諸力」という二つの根源的な力は、地球上のあらゆる形態の根源的な形成力である。『農業講座』という宗教的世界において、この二つの力があらゆる有機的形態を律している。「宇宙的諸力」とは、種子という農耕における始源的形態の外側から働きかけるマクロコスモスの総体であり、それはそれぞれの種の形態、生長の過程を方向づける力である。「地球的諸力」とはそれを受け、かつ、形態を形態として、生長を生長として発現させる力であり、象徴である。この二つの力は『農業講座』において、絶えず対置し、混交して現れ、表現される宗教的事実として示されている。
種子はそれ故に単に種子であるだけではなく、宇宙とその周期的生長の神秘として、そのマクロコスモスを内在させる、ミクロコスモスであり、再生という照応の原理の中心的象徴である。それは種子と宇宙という関係においてそうであると同時に、農場と宇宙、人間と宇宙という関係にも同様に比定される。
農場、つまり植物をはじめ動物、鉱物、人間あらゆる有機的形態の生成の場、相互作用の場の構造をさらに見てみれば、その再生の原理としての照応関係は、ひとつの逆説的な存在論として考えることができる。
R・シュタイナーによれば、農場は「一つの逆立ちしている個体」であり、「人間が逆立ちしているような状態」であり、「農場という個体が、逆さまに立っている」という。
大地は人間の呼吸活動を象徴する横隔膜に比定され、「宇宙的・地球的」な二つの力を絶えず循環せる「自然生成の存在する場」である。地中と地表はその二つの力の空間としての象徴であり、力は単に循環するのみではなく、空間として農場を形成する。地表においては、大地、地中に導き込まれた「宇宙的諸力」が上昇し現れ、それはあらゆる地表の、つまり知覚可能な形態に「全宇宙の刻印」を与えるという。地表は人間の腹部であり、それは知覚可能な、ひとつの消化活動にたとえられる活動の場である。一方、地中は人間の頭部であり、種子を受け入れ、その形態を発現させる根源的な全体性を象徴している。何故なら大地は、種子という形態をも包み隠し、その混沌において新しい生命としての「宇宙的諸力」を受胎させるからである。人間の頭部は「自我」の象徴である。
大地や空気中においては「宇宙的・地球的諸力」を媒介するのは様々な鉱物的存在である。鉱物もまた、宇宙の生成に関する限り「生きて」いるのであり、その聖性を分有しているのである。
R・シュタイナーは種子は宇宙の似姿であるという。
種として形成されたものが、親植物ないし親植物からその子供である植物ないしは動物の中に単に受け継がれていくという形では、生体は決して「種から生じてくる」のではありません。そういう考え方は全く誤っているのです。むしろこのような複雑な構造が極端にまで押しすすめられますと、それは崩壊するというのが正しいのです。そして地上の領域で最高の複雑さにまでもたらされたものの中には、結局のところ小規模な混沌世界ができます。このように最高の複雑さに到達したものは崩壊して、言うなれば宇宙の塵となるのです。そして、このように種が最高の複雑さに達し宇宙の塵となって崩壊し、そこに小規模な混沌世界が生じた時、周囲を取りまいている宇宙の総体がこの種に向かって働きかけ始め、その種の中に自分の似姿を刻印し、あらゆる方向から宇宙の作用がやってきてこの種子の中に形成されるものを、この小さな混沌世界から作り出すのです。このようにして、種子の中に我々が持っているのは、宇宙の似姿なのです。(『農業講座』、p62)
種子は宇宙の似姿であるという。種子の崩壊と混沌、その再生という表現は宇宙の縮図であり、人間存在の生と死の姿を現すものである。それは種子が植物の単なる生長の経験的周期性を現すためではなく、そこに宇宙の生成の原理が現れるためである。
「宇宙的諸力」と「地球的諸力」という二つの根源的な力は、地球上のあらゆる形態の根源的な形成力である。『農業講座』という宗教的世界において、この二つの力があらゆる有機的形態を律している。「宇宙的諸力」とは、種子という農耕における始源的形態の外側から働きかけるマクロコスモスの総体であり、それはそれぞれの種の形態、生長の過程を方向づける力である。「地球的諸力」とはそれを受け、かつ、形態を形態として、生長を生長として発現させる力であり、象徴である。この二つの力は『農業講座』において、絶えず対置し、混交して現れ、表現される宗教的事実として示されている。
種子はそれ故に単に種子であるだけではなく、宇宙とその周期的生長の神秘として、そのマクロコスモスを内在させる、ミクロコスモスであり、再生という照応の原理の中心的象徴である。それは種子と宇宙という関係においてそうであると同時に、農場と宇宙、人間と宇宙という関係にも同様に比定される。
農場、つまり植物をはじめ動物、鉱物、人間あらゆる有機的形態の生成の場、相互作用の場の構造をさらに見てみれば、その再生の原理としての照応関係は、ひとつの逆説的な存在論として考えることができる。
R・シュタイナーによれば、農場は「一つの逆立ちしている個体」であり、「人間が逆立ちしているような状態」であり、「農場という個体が、逆さまに立っている」という。
大地は人間の呼吸活動を象徴する横隔膜に比定され、「宇宙的・地球的」な二つの力を絶えず循環せる「自然生成の存在する場」である。地中と地表はその二つの力の空間としての象徴であり、力は単に循環するのみではなく、空間として農場を形成する。地表においては、大地、地中に導き込まれた「宇宙的諸力」が上昇し現れ、それはあらゆる地表の、つまり知覚可能な形態に「全宇宙の刻印」を与えるという。地表は人間の腹部であり、それは知覚可能な、ひとつの消化活動にたとえられる活動の場である。一方、地中は人間の頭部であり、種子を受け入れ、その形態を発現させる根源的な全体性を象徴している。何故なら大地は、種子という形態をも包み隠し、その混沌において新しい生命としての「宇宙的諸力」を受胎させるからである。人間の頭部は「自我」の象徴である。
大地や空気中においては「宇宙的・地球的諸力」を媒介するのは様々な鉱物的存在である。鉱物もまた、宇宙の生成に関する限り「生きて」いるのであり、その聖性を分有しているのである。
R・シュタイナーの宇宙について
R・シュタイナーの宇宙観についての覚え書き
R・シュタイナーの宇宙・人について
現在の地球及び人間は、R・シュタイナーの宇宙進化説においては第四番目の「進化段階」である「地球」状態のものである。現在の人間はそれ以前に「土星」、「太陽」、「月」状態を経て形成され、今後さらに「木星」、「金星」、「ウェルカヌス星」状態へと進化するとされている。R・シュタイナーの宇宙進化説によればその宇宙全体が「受肉」と「霊化」を繰り返し、その「受肉」の過程で「個体化」されるのがそれぞれの「惑星状態」である。さらにその全ての記憶は「アーカシャ年代記」という独自の「記憶実体」として保存されているという。R・シュタイナーの世界観は先行し、また後続する「惑星状態」によって層をなす世界観の全体である。
現在の宇宙・人は先行する「土星」、「太陽」、「月」状態の「宇宙の記憶」を保持している。R・シュタイナーによれば現在の人間は「物質体」、「エーテル体」、「アストラル体」、「自我」によって構成されおり「物質体」、「エーテル体」、「アストラル体」はそれぞれ「土星」、「太陽」、「月」状態の「人間の本性の記憶」と呼べるものであり、「自我」は「地球」状態の人間の本性であるという。さらに「物質体」、「エーテル体」、「アストラル体」は「地球」状態において「鉱物界」、「植物界」、「動物界」に対応しているという。
R・シュタイナーは人間は七つの構成要素からなり霊─魂─体の三領域にまたがる存在であるという。全人としての人間存在は(1)肉体、(2)生命・エーテル体、(3)魂・アストラル体、(4)自我、(5)霊我、(6)生命霊、(7)霊人の七つの構成要素をその内に持つ。七つの構成要素は宇宙の全体的な進化、展開に対応するものであり、それぞれの「惑星段階」においてそれらの構成要素を本性としている。現在の「地球段階」の人間存在は、「自我」をその本性としている。過去の人間の本性の記憶は、それぞれ鉱物界、植物界、動物界として現在においても存在する。地球段階の人間の本性である「自我」はそれらの構成要素、記憶の核としてそれらを統合するとともに、未来の人間存在である霊界に対して開かれている。
R・シュタイナーの宇宙・人について
現在の地球及び人間は、R・シュタイナーの宇宙進化説においては第四番目の「進化段階」である「地球」状態のものである。現在の人間はそれ以前に「土星」、「太陽」、「月」状態を経て形成され、今後さらに「木星」、「金星」、「ウェルカヌス星」状態へと進化するとされている。R・シュタイナーの宇宙進化説によればその宇宙全体が「受肉」と「霊化」を繰り返し、その「受肉」の過程で「個体化」されるのがそれぞれの「惑星状態」である。さらにその全ての記憶は「アーカシャ年代記」という独自の「記憶実体」として保存されているという。R・シュタイナーの世界観は先行し、また後続する「惑星状態」によって層をなす世界観の全体である。
現在の宇宙・人は先行する「土星」、「太陽」、「月」状態の「宇宙の記憶」を保持している。R・シュタイナーによれば現在の人間は「物質体」、「エーテル体」、「アストラル体」、「自我」によって構成されおり「物質体」、「エーテル体」、「アストラル体」はそれぞれ「土星」、「太陽」、「月」状態の「人間の本性の記憶」と呼べるものであり、「自我」は「地球」状態の人間の本性であるという。さらに「物質体」、「エーテル体」、「アストラル体」は「地球」状態において「鉱物界」、「植物界」、「動物界」に対応しているという。
R・シュタイナーは人間は七つの構成要素からなり霊─魂─体の三領域にまたがる存在であるという。全人としての人間存在は(1)肉体、(2)生命・エーテル体、(3)魂・アストラル体、(4)自我、(5)霊我、(6)生命霊、(7)霊人の七つの構成要素をその内に持つ。七つの構成要素は宇宙の全体的な進化、展開に対応するものであり、それぞれの「惑星段階」においてそれらの構成要素を本性としている。現在の「地球段階」の人間存在は、「自我」をその本性としている。過去の人間の本性の記憶は、それぞれ鉱物界、植物界、動物界として現在においても存在する。地球段階の人間の本性である「自我」はそれらの構成要素、記憶の核としてそれらを統合するとともに、未来の人間存在である霊界に対して開かれている。
ラベル:
R・シュタイナーの宇宙観
調剤について
調剤の種類と惑星の対応
500 牛角牛糞の調剤 ♁ 地球
501 牛角シリカの調剤 ☉ 太陽
502 ノコギリソウの調剤 ♀ 金星 カリウム ノコギリソウの花の部分と雄鹿の膀胱
503 カミツレの調剤 ☿ 水星 イオウーカルシウム カミツレの花と雌牛の小腸
504 イラクサの調剤 ♂ 火星 鉄 イラクサ
505 樫の樹皮の調剤 ☽ 月 カルシウム 樫の樹皮と雌牛の頭蓋骨
506 タンポポの調剤 ♃ 木星 ケイ素 タンポポの花と腸間膜
507 カノコソウの調剤 ♄ 土星 リン酸 カノコソウの花
500番、501番は水と混ぜ攪拌し、圃場の土、作物にそれぞれ散布する。
502、503、504、505、506、507は堆肥の山に混ぜる。堆肥を健全な方向に整える作用。
507番は霜害を防ぐために作物に散布される。
500 牛角牛糞の調剤 ♁ 地球
501 牛角シリカの調剤 ☉ 太陽
502 ノコギリソウの調剤 ♀ 金星 カリウム ノコギリソウの花の部分と雄鹿の膀胱
503 カミツレの調剤 ☿ 水星 イオウーカルシウム カミツレの花と雌牛の小腸
504 イラクサの調剤 ♂ 火星 鉄 イラクサ
505 樫の樹皮の調剤 ☽ 月 カルシウム 樫の樹皮と雌牛の頭蓋骨
506 タンポポの調剤 ♃ 木星 ケイ素 タンポポの花と腸間膜
507 カノコソウの調剤 ♄ 土星 リン酸 カノコソウの花
500番、501番は水と混ぜ攪拌し、圃場の土、作物にそれぞれ散布する。
502、503、504、505、506、507は堆肥の山に混ぜる。堆肥を健全な方向に整える作用。
507番は霜害を防ぐために作物に散布される。
2011年3月4日金曜日
バイオダイナミック農法を学ぶための幾つかの視点。
バイオダイナミック農法へのいくつかの視点、アプローチ。
バイオダイナミック農法と、他の農法の比較。
R・シュタイナーの世界観
カレンダーについて。
時間について。
農業について。
日々の作業の詳細。
ゲーテの形態学。
エリアーデ宗教学。
バイオダイナミック農法と、他の農法の比較。
R・シュタイナーの世界観
カレンダーについて。
時間について。
農業について。
日々の作業の詳細。
ゲーテの形態学。
エリアーデ宗教学。
2011年3月3日木曜日
バイオダイナミック農業の特徴
バイオダイナミック農法の特徴は?
調剤の使用。
天体の運行、種まきカレンダーに合わせた農作業。
ひとつの有機体としての農場。
植物・動物・土、そのほかあらゆる自然を観察すること。
いわゆる農薬、化学的肥料を使用しない。
調剤の使用。
天体の運行、種まきカレンダーに合わせた農作業。
ひとつの有機体としての農場。
植物・動物・土、そのほかあらゆる自然を観察すること。
いわゆる農薬、化学的肥料を使用しない。
『農業講座』
バイオダイナミック農業の基本的な文献は『農業講座』である。
『農業講座』とは1924年になされたR・シュタイナーの農業に関する8回の連続講演、ならびにドルナッハでの講演を筆記したものである。
『農業講座』とは1924年になされたR・シュタイナーの農業に関する8回の連続講演、ならびにドルナッハでの講演を筆記したものである。
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